加工ケーブルについて
ケーブル加工品において、そのコストの大半を占めるのがケーブルそのものです。また、機械、機器の稼働時間を左右する重要な部品の一つでもあります。そのため、ケーブルの選定というのが、加工する段階においてもっとも重要な工程となります。ケーブルの選定に必要な要素は様々ありますが、基本的なものは、ケーブル種類と、特性、規格です。
ケーブルの種類
ケーブルとは、主に導体に絶縁を施した一本一本の絶縁電線の上にシース(保護外被覆)を施したものを指します。そのため、電線とケーブルは分けて称されます。単純な区別としては、電線にシース(保護外被覆)を施したものを一般的にケーブルであると判別します。
ケーブルの種類としては、主に動力用と通信用の2つに大別されます。そこから使用用途、環境に応じて、導体素材の種類、シース(保護外被覆)素材の種類が選定されます。
一般的に使用されるシース素材として、ゴム系とプラスチック系がございます。
ゴム系 | 天然ゴム | NR |
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クロロプレンゴム | CR | |
クロロスルホン化ポリエチレン | CSP | |
プラスチック系 | ポリ塩化ビニル | PVC |
ポリエチレン | PE |
また、近年では、耐薬品性、耐熱性、電気特性にすぐれているテフロン(フッ素樹脂)のFEP=テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体や、ETFE=テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体もシース素材として選定されております。
ケーブルの特性
機械、機器の使用用途および環境により、それに対応した様々なケーブル特性がございます。
主なケーブルの特性 |
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耐油性、耐熱性、耐候性、耐震性、耐寒性、耐ノイズ性、可動性、高屈曲性、耐捻回性 |
使用用途および環境に対応していない特性のケーブルを誤って選定すると、ケーブルの使用寿命に直結する場合があり、機械、機器の稼働に大きな影響を与える場合がございます。そのため、ケーブルは、慎重に選定する必要がございます。
しかしながら、ハイスペックであればあるほどケーブルのコストも高くなる為、ある程度の費用対効果を考慮する必要もあります。またケーブルは交換するものという前提で、メンテナンスが容易な初期設計が求められます。
海外規格の要求
日本にも電気用品安全法(電安法)、日本工業規格(JIS)、日本電線工業会規格(JCS)の規格があるように、先進各国にもそれぞれ規格がございます。
電線・ケーブルにおいても輸出先の規格条件を満たしていなければ使用できない場合がございますので、海外向けについては規格確認が非常に重要です。
主な国際規格
UL規格(米国)
UL(Underwriters Laboratories Inc.)とは、アメリカで最も知名度の高い安全規格開発機関,製品試験・認証機関です。ULの規格に基づき製品の試験・評価を行い、規格に適合していると認証した製品にULマークの表示を認めています。
CSA規格(カナダ)
CSAとは、カナダ規格協会の略称で1919年に非営利の標準化団体として設立され、カナダで使用される工業製品の規格制定、および電気製品を対象とした安全試験を行っています。
CCC規格(中国)
CCC規格(China Compulsory Certificate system)は、中華人民共和国内に輸入される製品に対して国内技術の標準に適合し、輸入が認められるかを中国政府によって審査され認証が与えられる規格です。
ヨーロッパ CE規格
CE (Communaute Europeenne:フランス語)マークは、特定のEC指令の対象となる製品のうち、すべてのEU加盟国の基準を満たすものに付けられます。適用を受ける欧州(EU)の法律を満たす証明であり、欧州域内で販売される指定製品に表示することが義務付けられています。